遠近グリッドで絵を描く方法
1点透視、2点透視、3点透視の遠近グリッドを使って、デザインやイラストを描く方法を、さまざまな演習を通じて学びましょう。
グリッドは、アイデアの概念や構造を形にするためのフレームワークです。異なるグリッドを使い分けることで、視点の異なる絵を描くことができます。例えば、方眼グリッドなら距離感がつかみ安いですし、等尺グリッド (アイソメ) はワークスペースが30度に傾きます。ドットグリッドは、点線グリッドで自由にアイデアをまとめていくのに便利です。
遠近グリッドは、2次元の平面上に3次元の構造を作り出します。まるで本物のように立体的に見えるので、視線はすぐさまキャンバスのはるか遠くにある焦点、つまり消失点に注がれ、3次元空間に引き込まれていきます。この視覚効果を作り出すために遠近グリッドが使われますが、それと同時に、あなた自身もこの2次元/3次元の仕組みで描くことに慣れ、視覚トリックを使いこなす手と目を鍛えることが必要です。
ここでは、1点透視、2点透視、3点透視の遠近グリッドを使った構造物の描き方を、簡単な演習を通じて説明していきます。コンセプトでグリッドを設定する方法を知りたい方は、こちらのチュートリアルを参考にしてください。
パースの基本用語
遠近グリッドは描画のフレームワークで、地平線/水平線 (観察者の視野を表す横向きの線)、パース線 (焦点へ「消える」線)、最低1つの消失点 (すべての線が収束する地平線上の点)、最低1つの対応する平面 (グリッド線で表現された観察者が見る平面) で構成されます。
地平線/水平線
地平線は、アイレベル (目線の高さ) にある水平方向の視界です。人間の目は180度近い範囲を見渡すことができるので、地平線は紙の上でこの視野を模したものになります。
キャンバスの真ん中に地平線を引くと、風景を正面から見ているようなイメージになります。地平線が低い位置にあると見下ろしているようになる、地平線が高い位置にあると見上げているようになります。地平線を斜めにすると、頭や視点を大きく傾けているように見え、絵に新鮮なアングルを加えることができます。
地平線に対する視点の違い。私たちの目は60度の視円錐で正面にフォーカスし、周辺視野では180度近い範囲を見渡すことができます。
パース線
パース線は、地平線に消えていくグリッド線で、無限遠につづく3次元的な平面を表します。それぞれの消失点 (次に説明します) は、独自のパース線を持ちます。
消失点
消失点は、遠方に向かうすべてのパース線の焦点としての役割を果たします。
地平線上の消失点の数は、グリッド上で見える平面の数と同じになります。1点透視図法の消失点は1つのみで、観察者として見えるのは、オブジェクトの正面だけです。2点透視図法には消失点が2つあり、視点からはオブジェクトの2つの平面が見えます。3点透視図法の消失点は3つあり、オブジェクトの3つの平面を見せることができます。
1点透視、2点透視、3点透視の遠近グリッドの消失点と平面。4枚目の絵は、地平線を傾けて絵に躍動感を出す効果を表しています。
平面
仮に平面を視覚化しようとするなら、それは完全に平らな面になります。平面が1つしかない場所は、紙のように薄っぺらく見えます。
2つの平面は平行に走るか、線で交わるかのどちらかです。あなたは単独の観察者として、地平線上にある2つの離れた点に焦点を合わせることができるので、これらの対応する平面は、あなたが立つ位置にある垂直線で交差します。2枚の紙が、完全に、または一辺で重なっている様子を思い浮かべてください。
この2つの面に3つ目の面を加える場合、それは最初の2つの平面の両方に対して垂直になります (XYZ軸を想像してください)。
ヒント: 遠近グリッドを見ていると、どうしても線ばかりに目がいってしまいがちです。しかし実際には、これらの線はあなたの目から地平線へ伸びる、方向性を持った平面を表しています。オブジェクトを描くときは、それぞれの面を描くことを意識しましょう。そうすることで、グリッドの中でオブジェクトの立体感を視覚化しやすくなります。
パースの練習
ここからは演習を通じて、遠近グリッドで簡単な形を描き、それぞれのグリッドで制約される構造に目と手を慣らしていきましょう。少し練習すれば、これらのグリッドは建物や街の風景のパースをすばやく取るための強い味方になってくれますよ。
デジタルの遠近グリッドをまだ使い慣れていない方へのアドバイスは、最初に描きたいものを決めておくことです。目を閉じて、描くものをイメージするといいでしょう。
グリッドや、とりわけコンセプトの「グリッドに位置揃え」の描画ガイドは、画面上に正確な構造を描くための制約ツールです。そのため、それぞれのグリッドのルールを理解するまでは、ペンが思い通りに動かないかもしれません。これから行う演習で、これらのルールや、線をつなげて正しい形にしていく方法を学んでいきます。ですが最初はグリッドを使わずに、アイデアを下書きして視覚化しても結構です。のちほど紹介するテクニックを使えば、描いた後にいつでも絵をグリッドに合わせることができます。
1点透視
1点透視図法には1つの消失点を持つ地平線があり、あなたが立って遠くを見ている視線の高さを表します。焦点は1つだけなので、オブジェクトを真正面から眺める場合、見えるのはオブジェクトの前面のみです。
これはつまり、1点透視の遠近グリッドで引ける線は、地平線に対して水平方向と垂直方向の線、そして消失点に向かって伸びる線ということになります。
橋の絵は1点透視図法の良い例です。他にも道路など、正面から見るオブジェクトを描くのに使われます。
左側: 1点透視図法で描かれたベンチ。右側: 橋を正面から見た写真で、それぞれの画面は一番奥 (中央の) 消失点に向かって複製された平面になります。
1点透視グリッドのポイント
1. 遠近グリッドを設定します。1点透視の遠近グリッドには、地平線と1つの消失点、そして消失点へ伸びる線があります。
2. 頭の中で、グリッドに合わせてオブジェクトを視覚化します。
3. グリッド上でオブジェクトの正面を描きます。
4. オブジェクトのそれぞれの角から消失点に向かってパース線を引きます。
5. 同じオブジェクトの背面の境界線を、パース線に合わせながら描きます。
演習その1: 簡単な構造を描く
1. 新規デッサンで、1点透視の遠近グリッドを有効にします。このグリッドには、1つの消失点を持つ地平線があります。(キャンバス上にグリッド画面全体を表示させるために、拡大縮小する必要があるかもしれません。)
スケッチする前に、最初に描く形を決めておくといいでしょう。オブジェクトをイメージしてください。描きたいものは額縁ですか、それとも窓やドアですか? あるいは建物の正面ですか?
必ずしも正方形や長方形のような単純な形を選ぶ必要はありません。身の回りのあらゆるものは、それぞれ独自の構造を持ち、立体的に見えています。とはいえ、長方形ならグリッドとぴったり一致するので、初めてグリッドを使う場合はオブジェクトをグリッドに合わせやすいと思います。
2. ペンの滑らかさを100%に設定するか、「精密」メニューで「グリッドに位置揃え」を有効にします。簡単な長方形や正方形を描きます。1点透視の遠近グリッドでは、水平方向と垂直方向の線が許可されることを覚えておきましょう。
この長方形は、あなたが見る平面を模した正対する平面で、地平線にそった平面と平行です。
3. 長方形の四隅から消失点に向かって線を引きます。これらの線は、平面に厚みを持たせた場合、無限遠に立体的に伸びていくことを示しています。
コンセプトを使いこなすコツ:常にキャンバスの外側から内側に向かって描くようにしましょう。これは目線の動きを模倣するだけでなく、コンセプトのようなアプリにとって、幅広い選択肢の中からあなたがどの方向に描こうとしているのかを把握しやすくなります。すべての方向が1つの小さな点にある場合、描く方向を予測するのはとても難しくなります。
バットマンの紋章をここに描いてみたくなりますね。
4. 背面の境界線を描き足して、オブジェクトの寸法を決定します。最初に描いた長方形の後ろにあるパース線上に点を取り、2つ目の長方形を描いていきます。ここでも引けるのは水平方向と垂直方向の線のみです。
立方体のような構造が出来上がりました。
5. 背面の境界線の後ろにある線を消去またはスライスします。お好みでオブジェクトにディテールを加えてもいいでしょう。
箱の底面に引いた対角線は、箱の中心点を割り出して、観葉植物を中央に配置させるのに役立ちます。この方法はのちほど説明します。
レベルアップ: オブジェクトをスケッチする
もういくつか長方形をグリッドに描いて、それぞれパース線を引いてみましょう。線が重なってしまったら、背景部分の線をスライスまたは消去します。立体が出来上がったら、最初のオブジェクトのようなディテールを描き込んでいきましょう。パースに自信がつくおすすめの練習法です。
演習その2: 平面を描く
1点透視図で、線ではなくシェーディングを使って平面を描いてみましょう。こうすることで、意識をグリッドの「線」ではなく「面」に向けることができます。この感覚を養うと、複雑なグリッドで方向をつかんだり、複数の透視図法を使って描くときにとても役立ちます。
1. マーカーや鉛筆で簡単にシェーディングをつけることができます。
またはコンセプトの塗りつぶしツールを使えば、線の代わりに図形を描くことができます (塗りつぶしツールのチュートリアルはこちらを参照 [英語])。塗りつぶしツールを使う場合は、「精密」メニューの「位置揃え」を有効にしてください。グリッドの制約のもとで図形を塗りつぶす感覚をつかむことができます。手早く効率的に作業できる便利な方法です。
2. グリッドを見て、どの方向に進めるかを考えましょう。ここでは、水平方向、垂直方向、消失点に向かう方向に進むことができます。シェーディングの目安となるパース線を2本選び、平面を囲みます。常に遠くにある消失点に向かって描きましょう。
側面や底面、または上面を塗りつぶしてみてください。
すると、視線がすぐさま中心に向けられ、平面を歩けるような感覚になりますね。
人物を加えるとあっという間に絵の世界に引き込まれます。
2点透視
2点透視図法は、デザインやイラストレーションでもっとも使われる透視図法です (世の中の出来事の大半は、地面に立った目線の高さで見えているからです)。2点透視は、オブジェクトや風景を2つの平面で異なる角度から表現します。
ここでは正面を向いた水平の平面はありません。引くことができる線は、垂直線と、地平線上の2つの消失点にそれぞれ伸びるパース線のみです。
角から斜めに見た建物は、2点透視図法の良い例です。
この海辺の家は、ほぼ正確な2点透視図法で撮られています。地平線以外に水平な線はありません。2点透視では、垂直線とパース線のみを使ってオブジェクトの2つの面を表現します。
2点透視グリッドのポイント
1. 2点透視の遠近グリッドを設定します。このグリッドには地平線と、地平線上の任意の位置に2つの消失点があり、それぞれの消失点へ伸びるパース線があります。
2. キャンバスの好きな場所に垂直線を引きます。
3. 垂直線の両端からグリッド上の各消失点へパース線を引きます。
4. オブジェクトの辺を描いて、不要な線を消します。
演習その1: 建築スケッチを描く
1. キャンバスに2点透視の遠近グリッドを設定します。このグリッドには、地平線があり、地平線上の任意の位置に2つの消失点があります。
自然な遠近感を出すために、それぞれの消失点は離れた場所に取りましょう (人間の視野はとても広いため)。逆にあえて遠近感を歪ませたいなら、消失点は近くに取ります。
2. 2つの消失点の間に垂直線を引きます。簡単に直線を引くには、ペンの滑らかさを100%に設定するか「位置揃え」を有効にします。
3. 垂直線の両端から地平線上のそれぞれの消失点へパース線を引きます。すると2つの平面が現れるのが分かりますね。
4. オブジェクトの辺を描き足して、不要な線を消します。
不透明なオブジェクトならこれで完成、透明なオブジェクトなら背面の線を描き足します。均一な立体感を出すには、前から後ろに引いたグリッドのマス目を数えると、後方に平行して同じスペースを取ることができます。
レベルアップ: 建築物のディテールを描く
1. 描いた絵に都会的なディテールを加えてみましょう。パース線を使って、窓やドアを正しい角度で描きます。
2. 最後に樹木や人物を加えて、建物のスケール感を表現します。(このチュートリアルの最後で、人物を建物に対して正しい比率で描く方法を説明します。)
演習その2: 大型ビルを描く
1. 1点透視図の演習と同じように、キャンバス上に垂直線を何本か引いてみましょう。垂直線の両端からそれぞれの消失点へパース線を引きます。
別々の建物を作ってもいいですし、それぞれの形をひとつの建物にまとめてもいいです。この練習では、キャンバス上の異なる場所でどんな形ができるのか、絵に統一感を持たせるのに遠近グリッドがどう役立つのか、などといった感覚をつかむことができます。
2. どの線を残して、どの線を消すかを考えるときは、最初に正面の線がどこにあるかを考えましょう。これはあなたが引いた垂直線になります。これらの垂直線は残しますが、1本選んでそのパース線を後ろにたどり、別の垂直線から伸びるパース線と交差するまでさかのぼります。
交差した位置で垂直線を引きます。この作業をオブジェクトごとに繰り返します。その後に、交差した平面より後ろにあるすべての線を消します。
3. ぜひ自由に簡単なディテールを描いたり、色を塗ってみてください。太陽に近い面は明るい色、その隣は中間の色、影の部分は暗い色を使いましょう。
3点透視
3点透視図法では、2点透視図法で表現する2つの側面に加えて、地平線の上または下から見た特別な視点を提供します。これまでの2つの透視図法では見ることができなかった、オブジェクトの第3の側面を表現できます。この透視図法は、スカイダイビングや空飛ぶスーパーヒーローなど、独特の世界観を演出するアクションシーンによく使われます。
3点透視図法では、点と対応する消失点に向かうパース線のみを使います。
この写真は3点透視図法の例で、山の尾根から建物を見下ろしています。
写真を縮小すると、頭上に太陽があると思われる位置に、3つ目の消失点を取ることができます。
3点透視グリッドのポイント
1. 遠近グリッドを設定します。3点透視の遠近グリッドには、地平線上に2つの消失点があり、3つ目の消失点は地平線の上または下にあります。パース線は、キャンバス上の3つの消失点すべてに向かって伸びています。
2. キャンバス上のどこかに新しい点を取ります。これは消失点ではありません。 この新しい点が、消失点に囲まれる三角形の内側にある場合、描いたオブジェクトの3つの平面すべてが見えるようになります。
3. 新しい点から各消失点へパース線を引きます。この構造は、オブジェクトの中央の骨組みになります。
4. 3本それぞれの線を少し上にたどり、2つ目の点を取ります。それぞれの点から、まだ接していない各消失点へパース線を引きます。オブジェクトの辺が現れました。
5. オブジェクトの周囲にある不要な線を消します。
演習その1: 立方体を描く
1. 3点透視の遠近グリッドを有効にして、キャンバス上に配置します。3点すべての消失点を表示させるには、拡大縮小する必要があるかもしれません。グリッドの位置は、グリッドレイヤーでいつでも編集できます。
2. キャンバス上に新しい点を取ります。この点が消失点に囲まれる三角形の内側にある場合、描いたオブジェクトの3つの平面すべてが見えるようになります。
3. ペンの滑らかさを100%に設定するか、「位置揃え」を有効にして、この新しい点からグリッド上の各消失点へ線を引きます。このアウトラインは、オブジェクトの中央の構造です。それぞれの線は、描き進めるにつれて現れてくる、3つの交差する平面の内側の辺になります。
4. いずれか1本の線で、ペンを少し下に動かして新しい点を取ります。(これは正確には、別の3つの平面 [見えている2つの平面と、オブジェクトの背後にある1つの平面]の頂点になります。)
この点から、まだ触れていない線に沿って、各消失点へ線を引きます。するとオブジェクトの辺が現れてくるのが分かります。
5. 他の2本の線にも点を取り、それぞれパース線を引きます。
6. 不要な線を消去またはスライスして、オブジェクトの完成です。
演習その2: SF映画のワンシーンを描く
1. 最初の演習で描いたような形をもういくつか描いて、テクニックを磨いていきましょう。コンセプトなどのお絵かきアプリを使うときは、オブジェクトごとに新しいレイヤーを使うのがおすすめです。1つの形を描いている最中に別のレイヤーを非表示にしておくと、作業が整理しやすくなります。
2. すべてのオブジェクトを描き終えたら、色を塗りつぶしてみましょう。3つの色を使って立体的に塗っていきます。太陽光が最も当たる所には明るい色、その隣は中間の色、太陽から最も遠い所は暗い色を塗ります。
コンセプトを使いこなすコツ:「塗りつぶし」ツールを「位置揃え」を有効にして使うと、図形をなぞるだけで、グリッド上で素早く色塗りができます。
コンセプトを使いこなすコツ:「トライアド」のカラーパレットを使うと簡単に配色できます。カラーホイールで色を選び、このパレットを使って同じ色の濃淡を見つけます。コンセプトのカラーパレットの使い方はこちらを参考にしてください (英語)。
3. 3つ目の消失点を上空高くに取り、地平線を低い位置に引くと、下から見上げるアオリの構図になります。オブジェクトを中空に浮かぶ未来都市に変えてみましょう。
地平線を高い位置に引き、3つ目の消失点をその下に取ると、上から見下ろしているようなフカンの視点になります。スカイダイビングのシーンで、眼下に広がる風景を想像してみましょう。
四角を円に変える
正方形や長方形はもうマスターしましたか? では今度は遠近法で円柱を作ってみましょう。この手法では、立方体を使ってあらゆる形を作ることができます。「万物は立方体から生まれる」という法則に従うなら、理想の形になるまで立方体の角を削っていけば良いということになります。
この演習では、各平面の中心点を見つけ、円を大まかにスケッチして、思い通りのデザインになるまで余分な部分を削り取っていきます。
1. 1点透視の遠近グリッドを設定します。
2. 最初の演習と同じように、立方体のような形を描きます。
3. オブジェクトの正面に注目します。正面の四隅に2本の対角線を引きます。これで平面の中心点がわかりました。背面も同様に中心点を取ります。
4. 中心点を通る縦軸と横軸を引きます。これで左右対称の基準点ができあがりました。
5. これらの接点を参考にして、円形の丸みを帯びた形を描いていきます。大まかに描ければ良いので、丸い形を切り取りながら視線を中心に合わせる練習をしましょう。最初のうちはゆがんで見えるかもしれませんし、慣れてもまだいびつに感じるかもしれません。そう見えるのは、絵を平面的に見ているからかもしれません。一歩下がって立体的に見てみると、きちんと円形に見えることでしょう。
6. 前方の円の端から後方の円へパース線を引きます。
コンセプトを使いこなすコツ:円周の線にスムージングをかけて線を整えましょう。または「オブジェクトライブラリー」の正円を使って、ナッジツールで形を整えたり、「図形定規」で円弧や円を描いて角に丸みをつけることもできます。
7. 最後に色を塗りつぶしてもいいでしょう。
遠近法で人物を描く
建築スケッチや都市デザインを描くときは、スケール感や奥行き感を表現するために、建物の周囲に人物や樹木、車などを書き加えるのが一般的です。これらは正しい大きさで描くことが重要です。ここを間違うと、どんなにうまく描けたつもりでも絵に違和感が生まれてしまいます。
人物やオブジェクトを正しいスケールで描くことは、実はとても簡単です。遠近法で建物を描く原則と同じように描けば良いのです。
遠近法で人物を描く方法は、遠近法で建物を描く方法と同じです。人物の頭頂と足元をパース線に揃えるだけです。
建物を描き終えたら、建物の全長を決めて、次に建物の1階部分に注目します。
- 1階あたりの平均的な高さは約4メートルです。
- 一般的な人の身長は150〜180センチです。
- 車の場合、セダンの車高は約1.5メートルです。バンの車高は約2.3メートルです。
- 低木の高さは4.5メートル程度です。ケヤキのような高木は10〜30メートルに成長します。
この演習では、人物の描き方に集中します。身長180センチの人物なら、1階建て部分の半分弱の高さになります。
1. 1階部分の高さを測り (おおよそで構いません)、次に建物の隣にいる人物の身長を測ります (1階部分の半分弱)。
2. 人物の足元から消失点へパース線を引き、頭頂から消失点へも線を引きます。
3. この2本の線の間なら、人物はどこに描いても正しいスケールになります。必ず足元は下のパース線に、頭頂は上のパース線に接するように描きましょう。
写真やスケッチのパースを取る
パースの描き方がよく分からないときや、写真をリファレンスに使いたいときは、この演習を活用すればパースが簡単に取れるようになります。
また現実の風景や、オブジェクトのスケッチ、空想上の景色で消失点の距離感をつかむ良い方法にもなります。
この手法は、あらゆる絵や写真、すべての遠近グリッドで使うことができます。
1. 描きたいメインオブジェクトを表す簡単な長方形を描きます。題材は手持ちの写真から探してもいいですし、ちょっと散歩して何か撮影してもいいでしょう。
自然界では必ず地平線を見つけることができますが、遠近グリッドは人工的な構造物をとらえるのを最も得意とします。家や道路、または身近なもので使える写真があるか探してみましょう。
2. 写真をキャンバスに取り込みます。
3. 画像の中心となる構造要素に注目します。ペンの滑らかさを100%に設定して、オブジェクトの手前の角から後ろの角へ直線を引き、さらにそれらの線が交差するまで伸ばしていきます。
交差する点は写真上ではなく、遠く離れた位置にあるかもしれません。それで構いませんので、線が交差するまで伸ばしていきましょう。引いた線は、キャンバス上の別々の場所で交差するかもしれません。その場合は、消失点が複数あるということになります。
4. ここからは、最終的な消失点の数を確認して、それに対応する遠近グリッドを選択します。
画像の地平線にグリッドの地平線を合わせてから、消失点をそれぞれ見つけた点に合わせて配置します。
グリッドレイヤーを画像レイヤーの上に置くと、写真の上からグリッドを確認できるので便利です。
5. こうして出来上がった遠近グリッドは、最初に取り込んだ写真や絵と似たような風景やオブジェクトを描くのに役立ちます。ここからは「位置揃え」を有効にして、グリッドガイドを使って構造物を描くことができます。
ちなみにコンセプトでは、グリッドのプリセットもいくつか用意しています。プリセットを使えば、最初に写真を使わずに似たような方法で描き始めることができます。「グリッド」メニューでグリッドを選択してから「グリッドを編集」をタップします。プリセットはメニューの最上部に表示されます。タップして選択してから描き始めます。
レベルアップ: オブジェクトの構造をワイヤーフレームで描画する
1. ペンの滑らかさを100%に設定したままで、写真のオブジェクトの中心となる構造部分のアウトラインを引きます。
1. 中心となる構造面のアウトラインを取ります。2. その形状を選択・複製します。3. パース線を使って位置を揃えながら、後方の形状に合合わせて縮小します。
2. 写真レイヤーを非表示にするか写真を横に移動させて、オブジェクトに簡単なディテールを描き込んでも良いでしょう。オブジェクトの遠近感をとらえる良い方法です。
先ほどと同じテクニックを使って、構造を描いてから複製して中心的な構造の形状に揃えます。パース線を使ってオブジェクトの側面をつなげます。
今回はたくさん練習しましたね、お疲れさまでした! このチュートリアルでパースに自信がつくヒントを得ていただけたら幸いです。
遠近グリッドの使い方に関するfご質問や、チュートリアルへのご意見・要望があれば、アプリの「ヘルプ」→「お問い合わせはこちら」からお気軽にご連絡ください。 最後まで読んでいただきありがとうございました!
チュートリアル: Erica Christensen
翻訳: Wakana Nozaki
パースの描き方をさらに学びたいなら、動画チュートリアル「絵の描き方: 遠近法の基本」もぜひ参考にしてください。
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